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シンポジウム

◆公開シンポジウム
「⽇本の〈南〉の⺠俗学 ―⿅児島・奄美・沖縄―」

趣旨
 これまで日本民俗学会が日本の〈南〉で企画してきた年会は、1990年代初頭の計2回であっ
た。その場所とテーマは、1990年の沖縄大会における「沖縄民俗研究の展望―東アジアの中の沖縄―」、1994年の鹿児島大会における「南九州の民俗の地域性と民俗学」で、それぞれ開催地の民俗を理解する方法の検討や視座をめぐって企画されてきた。本年会の奄美大島での開催は、そこから約30年ぶりの日本の〈南〉での年会となる。また、近年の年会が慣例的に大学機関を会場に開催されてきたなかで、今回久しぶりの地域開催の試みとなる。
 奄美大島は、奄美群島(奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島)を構成する島のひとつである。当域は行政区画のうえで鹿児島県に含まれているが、中世相当期に琉球国の版図に含まれていた歴史的経過から、言葉、芸能、行事等には沖縄県域に通じた民俗文化が保持されてきたことが知られている。それによって本年会では、鹿児島・奄美・沖縄の民俗に焦点を当て、当域をフィールドに研究を進めている方々に登壇を依頼した。
 第一部では、鹿児島・奄美・沖縄、それぞれの地域における民俗研究の動向を俯瞰したい。最初に、各団体会員に地域における研究動向を紹介していただくとともに、登壇者それぞれが研究をすすめている〈南〉の民俗学を語っていただく。その後、研究領域として重層する「奄美」をキーワードに、今後のそれぞれの民俗研究の可能性について意見の交換を行いたい。
 第二部では、民俗学が研究対象としてきた幅広いテーマの中から、民俗芸能に焦点を当てる。まず、南九州から奄美群島にかけて分布する民俗芸能における琉球系・沖縄系/ヤマト(日本本土)の混交の問題に注目する。続いて南西諸島最南端に位置する八重山諸島の多種多様な民俗芸能の研究状況と今後の展望について検討する。最後に、海外や(沖縄)県外における沖縄系人の多彩な芸能活動に注目し、それが沖縄や奄美の民俗芸能研究にどのような影響を与えうるかについて議論してみたい。
 以上を通して、日本の〈南〉の民俗学の更なる発展につなげていきたい。

【第一部】 それぞれの〈南〉の民俗学
 進行:服部比呂美(東京都/國學院大學)
 登壇:小島摩文 (鹿児島県/鹿児島純心大学)
    町健次郎 (鹿児島県/瀬戸内町立図書館・郷土館)
    萩原左人 (沖縄県/琉球大学)

【第二部】 民俗芸能研究の視点から
 進行:久万田晋 (沖縄県/沖縄県立芸術大学)
 登壇:笹原亮二 (大阪府/元国立民族学博物館)
    飯田泰彦 (沖縄県 /竹富町史編集係)
    澤田聖也 (東京都/東京藝術大学)

更新履歴

  • 2025-05-29 ページ公開